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2019.07.08

【歯科衛生士監修】子供の歯磨き粉はいつから?安全な歯磨き粉の選び方

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子供には小さいころから、食後の歯磨きなどお口のなかをキレイにする習慣を身につけさせたいもの。

子供に使う歯磨き粉の選び方や使用開始の時期、子供の歯磨き習慣を身につけるポイント、虫歯予防のためのフッ素についても正しい情報について、サンスター財団附属千里歯科診療所の歯科衛生士・茨木浩子さんに伺いました。

監修/茨木浩子(いばらき ひろこ)歯科衛生士

2009年
一般財団法人サンスター財団へ入社
2011年
日本歯科審美学会 ホワイトニングコーディネーター 取得
2017年
日本咀嚼学会 健康咀嚼指導士 取得
2018年
大阪府糖尿病協会 大阪糖尿病療養指導士 取得
日本歯科審美学会 認定士 取得
2019年
日本臨床歯周病学会 認定歯科衛生士 取得
日本小児歯科学会 認定歯科衛生士 取得

子供の歯磨き粉はいつから使う?月齢、年齢別歯磨き粉の選び方

離乳食が始まると、子供のお口の中の環境も気になります。
歯磨きを習慣づけたいところですが、歯磨き粉はいつごろから使えるのでしょうか。子供用の歯磨き粉の特徴を知っておきましょう。

歯磨き粉使い初めの時期は

歯磨き粉の使用は、うがいができるようになってからだと思う方も多いでしょう。実は、うがいが上手にできなくても、子供用歯磨き粉は使えます。日本口腔衛生学会フッ化物応用委員会がまとめた『フッ化物局所応用実施マニュアル』でも「生後6か月ごろの歯が生える時期から使用できる」とされているのです。

「歯磨き粉に含まれるフッ素の影響を心配する方もいますが、歯磨き時に使う程度の量は、飲み込んでしまっても心配いりません」(茨木さん)

大人の歯磨き粉とどう違う? 子供用歯磨き粉の特徴は?

では、子供用歯磨き粉には、どんな特徴があるのでしょうか。
「まず違うのは、歯磨き粉の味。他には、研磨剤や発泡剤が、大人の歯磨き粉に比べるとやや少ないことも特徴です。月齢や年齢に合わせて選ぶといいでしょう」

歯磨き粉が辛い、嫌がる? 子供用歯磨き粉の選び方

子供用歯磨き粉は、子供の好きな味で選べば大丈夫。けれど、歯磨き粉の味は、使ってみなければわからないこともあります。歯科医院によっては、歯磨き粉のテスターで試すことができる場合もあるようなので、かかりつけの歯科医院を決め、相談しながら選んでみてはいかがでしょうか?

歯磨き粉を嫌がる そんなお子さんには?

歯磨きの習慣が身についてほしいのに、歯磨き粉を嫌がってしまう子供もいますよね。

まずは歯磨きをすることがイヤになってしまわないよう、焦らずゆっくり、親子で一緒に好きな歯磨き粉を探しましょう。パッケージにデザインされたキャラクターや、好みの味の歯磨き粉を「子供自身が選ぶ」経験を重ねていると、自然と歯磨き粉に慣れていくことも。

歯磨き粉を「辛い」と感じるようなら、無理をさせる必要はありません。自宅では丁寧な仕上げ磨きを行い、定期的な歯科医院受診でフッ素を塗布してもらいましょう。

飲んじゃう。うがいしない でも安全な歯磨き粉とは?

うがいが苦手な子供の場合、歯磨き粉を飲み込んでしまうのでは、と心配になります。
でも、安心してください。「歯科医院で販売されているものでも市販の歯磨き粉でも、安全性は確立されています」と茨木さん。

歯磨き粉には、発泡剤・研磨剤・防腐剤・界面活性剤・香味剤などが配合されているものもありますが、使用方法を守り正しく使用すれば、一度に使う量が少量なため、用法、用量を守っていれば、特別な注意点はありません。

また、子供の歯磨きをする際に使用する歯磨き粉の分量としては、6ヶ月ごろなら米粒程度、3~5歳は歯ブラシに対して5ミリぐらいの量です。大人に比べても、一回の歯磨きで使う分量も少ないので、万が一飲み込んでしまっても安全だと考えて大丈夫です。

アレルギー等の有無がわからず心配な場合は、無添加歯磨き粉の使用を考えてもいいかもしれません。気になることがある場合には、かかりつけ歯科医院を受診して、相談するといいでしょう。

虫歯予防のフッ素 濃度、頻度はどのくらい?

虫歯の予防を目的に、歯磨き粉に含まれるフッ素。子供に使える濃度はどれぐらいなのでしょう。また、フッ素の塗布は、どれぐらいの頻度で行うのが理想的なのでしょう。

フッ素の濃度は500~1,000ppmくらいを選ぶ

フッ素配合の歯磨き粉は、生後6ヶ月ごろの乳歯が生える時期から使用でき、6ヶ月から5歳の子供には、フッ素濃度500ppmの歯磨き粉を、親が行う仕上げ磨きで使います。(日本口腔衛生学会フッ化物応用委員会 「フッ化物局所応用 実施マニュアル」)

6歳以上は1,000~1,500ppmのフッ素配合歯磨き粉を使うことが可能です。歯科医院でのフッ素塗布には9,000ppmと高濃度のものが使用されます。定期的な歯科医院への受診と家庭でのフッ素塗布を併用するといいでしょう。

フッ素塗布は、毎日、毎回するもの?

家庭でのフッ素塗布は、フッ素配合の歯磨き粉やフッ素洗口液を推奨します。ただし、洗口液はうがいができるようになってから使用してください。子供の場合は、一日1回でもいいので、フッ素配合の歯磨き粉を使いましょう。

歯科医院でのフッ素塗布は、濃度も高いので3~6ヶ月に1回程度フッ素塗布をしてもらいましょう。

大人の歯に生え変わる混合歯列期の子供には、夜寝る前にフッ素洗口液を使用することもおすすめします。フッ素洗口液は、歯科医院や薬剤師のいる薬局などで購入できます。

フッ素配合の歯磨き粉 効果的な使い方

子供用のフッ素配合歯磨き粉を使うときには、一回に決められた分量を使うようにします。

6ヶ月~2歳の子供に使う場合は、切った爪ぐらいの少量を使います。3~5歳児なら歯ブラシに5mm以下、6~14歳では1cmほどを出して使います。

歯磨きのあとのうがいは1回だけにし、お口の中にフッ素の効果が残るようにしましょう。子供の場合は、夜寝る前に行うのがおすすめです。

歯磨きを楽しい毎日の習慣にするために

毎日行う歯磨きが子供にとって楽しみになれば、自然と習慣になっていくもの。
日々、来院する多くのお母さんたちに接している茨木さんが、そのポイントを教えてくれます。

ママと楽しくスキンシップ

お母さんたちのお困りごとで多いことの一つが「子供が歯磨きを嫌がる」という声。
「お母さんの歯ブラシを子供に渡して、お母さんが子供に歯磨きしてもらう『歯医者さんごっこ』をすると、歯ブラシを怖がる気持ちもわかりますよ」と茨木さん。

お母さんが険しい顔をしていたり、力を入れすぎていたり、気付かないうちに子供が嫌がる原因を作っていることも。「子供の健康な歯を作るのは親の仕事」と、お父さんお母さんの役割は大きいのですが、大切なことは、歯磨きの習慣を身につけること。機嫌が悪くてきちんと歯磨きできないなど、心配なことがあっても叱らず、楽しい歯磨きタイムにする工夫をしてみましょう。

親子で目標を決めて歯磨きをすることも、子供の楽しみにつながります。子供の機嫌が悪ければ「今日は、ここだけね」と、虫歯になりやすいポイントだけを磨き「明日はしっかり磨こうね」と、子供の気持ちを尊重しながら目標を決めます。

小学生に近づけば「上手に磨けたら見せてね」と一人で磨く練習をするなど、子供が頑張れそうな目標を、親子で考えてみるのも楽しいですよ。

キャラクター歯ブラシ、お気に入りの歯磨き粉で

お母さんたちの悩みで多いのが、歯ブラシなどの歯磨きで使う「道具」の選び方です。
「歯ブラシも歯磨き粉も、子供に好きなものを選んでもらうのはおすすめです」と茨木さん。
自分が使うものを自分で選んだという気持ちになれることが、歯磨きを楽しみにするきっかけになることもあるからです。好きなキャラクターがデザインされた歯磨き粉や歯ブラシも、子供が選んだのなら使ってみては?

歯磨きを、子供が自分のこととして行えるような「わくわくできる」きっかけを見つけてみましょう。

まとめ

子供の歯磨きでは、歯磨き粉やフッ素塗布のことなど、気になることはたくさんあります。大切なことは「歯磨きは、お母さんとの楽しい時間」と子供が思える雰囲気づくり。

不安なことは、かかりつけの歯科医へ気軽に相談してみましょう。子供が「初めて行く歯医者さん」を、治療の場所ではなく検診の時間にしてあげることも、虫歯予防に繋がります。

編集者 サンスター株式会社編集部
公式ホームページ https://jp.sunstar.com/
会社設立日 1932年
所在地 〒569-0806 大阪府高槻市明田町7番1号
お問い合わせ先 0120-543210
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