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2019.10.23

炊飯器で?土鍋で? おいしい発芽玄米の作り方と炊き方

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私たちが普段何気なく食べているお米。今や、白米が余りに一般的なので、気が付かないかもしれませんが、糠や胚芽が残っている玄米であれば、ある条件下で、芽が出るということをご存知でしょうか?つまり、玄米には自ら芽を出す生命力があるということ。今回は、完全食とも言われる玄米の中でも、注目度が高い「発芽玄米」をクローズアップ。栄養、作り方、炊き方、おいしい食べ方...みんなの気になるトピックも交えて、たっぷりご紹介します。

発芽玄米とは?どんな状態のもの?

発芽玄米とは、玄米を一定時間水に漬けて、少し発芽させたもの。芽が出ると言うと、まるで種のようですが、まさにそうで、水、空気、温度など、条件が整えば、きちんと発芽し植物として成長します。そして、この少しだけ芽が出た状態の発芽玄米が、昨今、じわじわと注目を集めているのです。では、一体、発芽させた玄米を選ぶことにどんなメリットがあるのでしょうか?

発芽させる理由とは?

また、発芽モードになることで、眠っていた酵素が活性化され、内部に栄養を増やしていきます。そのため、玄米に比べ、栄養価や旨味成分も高くなっていくのです。さらに、ありがたいのは、白米と同じように、普通の炊飯器でも簡単に炊けること。つまり、発芽玄米は、安心で栄養豊富で美味しい、健康食材と言えるのです。

発芽させると栄養はどう変わる?

発芽玄米は抗酸化物質が豊富で、栄養の消化・吸収・代謝に役立つビタミンやミネラル、腸内環境を整える食物繊維など健康に有用な栄養がたっぷり含まれています。さらに、特筆すべきは、米胚芽に含まれる「GABA(ギャバ)」が、未発芽状態の玄米と比べて3倍程度も増量すること。GABAは、アミノ酸の一種で、脳の血流を良くし、血圧安定作用やリラックス効果があるなど、多くの効能があると言われています。私たちの心身の健康維持に大いに役立ってくれそうですね。

発芽玄米の作り方って?

最近は、市販のものも目にするようになりましたが、実は、発芽玄米は自宅で手作りすることも可能です。とはいえ、本当に上手く発芽させられるのか、初心者は心配になってしまいますよね。ここで、基本の作り方から、発芽玄米作りに役立つ便利な道具まで、色々とご紹介します。自分に合った方法を見つけて、発芽玄米作りにチャレンジしてみませんか?

基本の作り方

まずは基本から。大きいボールや深めの容器を用意し、作りたい分の玄米を洗い、もみがらなどを取り除いておきます。ボールに玄米とたっぷりの水を入れたら、ラップや蓋をしてそのまま放置。このとき、ラップに少し穴をあけたり、蓋を軽く載せたりなど、発芽に必要な空気の通り道を作ってあげます。ただ放置すると、水が濁って糠臭くなってくるので、こまめに水を替えることも大切です。発芽までの時間は気温や水温に影響を受けます。夏場は半日~1日、冬場は2~3日程度はかかると考えておきましょう。お米からほんの0.5㎜~1㎜ほど小さな芽が出てきたら、完成。そのまま置いておくと、どんどん発芽が進んで美味しくなくなってしまうので、ざっと洗い流したら、速やかに炊いていただきましょう。

ヨーグルトメーカーでの作り方

発芽玄米を短時間で作ることができる道具として注目されているのが、「ヨーグルトメーカー」。作り方はいたって簡単。ヨーグルトメーカーの内容器に玄米と水を入れて、蓋は軽くのせる程度で空気の通り道を作ってあげたら、あとは発芽に最適な30℃~32℃にセットし、12時間~20時間ほど放置。この方法だと、水を替えることなく、美味しい発芽玄米ができると評判。初心者でも失敗しにくいので、おすすめです。

魔法瓶での作り方

温度をキープする魔法瓶も発芽玄米作りに役立ちます。洗って水を切った玄米を魔法瓶に入れたら、40℃くらいのお湯を注ぎ、軽く蓋をするだけ。8~11時間置き、一度お湯を入れ替えたら、さらに8~11時間。ヨーグルトメーカーと同じく、発芽に適した温度をキープすることで、スムーズに発芽玄米を作ることができます。

炊飯器でも作れる?

炊飯器の保温機能を使って作るという情報もありますが、普通の炊飯器の保温モードは約60℃~74℃。発芽に適した温度と比べると高すぎます。炊飯器を使って時短で作りたいという場合は、やはり発芽玄米モードが付いた玄米炊飯器など、専用の機器を使う方が安心です。

簡単!早い!上手に作るコツを教えて

発芽玄米も植物です。その発芽に大切なのは、水と適温と空気(酸素)。この3つを押さえることがポイントです。

たっぷりの水と酸素

まず、たっぷりの水。水が多いことで水中に含まれる酸素の量も多くなり、発芽しやすくなります。
約1日程度、玄米を十分に水に浸したら、水からザルなどに上げて、濡らした布巾などで表面を覆って乾燥を防ぎ、しばらく置くこと。たっぷりの水を与えたら、今度はしっかり呼吸をさせてあげることで比較的早く発芽玄米を作ることができます。

水温が違う夏と冬。お湯を使っても良い?

発芽に最適な温度はおおよそ30℃~32℃。夏は比較的早く発芽し始めますが、気温の低い冬は発芽するまでにかなり時間がかかってしまうこともあります。冬に作る場合は、浸水し始めや水を取り替えるときにぬるま湯を使ったり、部屋の中でも暖かい場所に置いたりするなど、環境を調整してあげるといいですね。反対に夏は苦労がなさそうにも思えますが、玄米や容器に残っていた汚れやほこりから繁殖する雑菌が心配。使う道具や水の衛生管理には十分注意するようにしましょう。

発芽しない!よくあるトラブルの原因とは!?

いつまでたっても発芽しない、なんだか臭い(ニオイ)がしてきた。発芽玄米を手作りしているときに陥りやすいトラブルです。一体何が原因なんでしょう? 

発芽しない!原因は?

玄米がなかなか発芽しない原因として、まず気温など環境の問題も考えられますが、どれだけ時間をかけても発芽しない場合は、使う玄米の品質に問題がある可能性もあります。よく言われているのが、昔ながらの天日干しではなく、機械で高温乾燥した玄米。高温で一気に乾燥することで発芽モードになりにくい状態になってしまうのだそう。発芽玄米を作る際は、自然乾燥や低温乾燥で処理された玄米を選ぶようにしましょう。

臭い(ニオイ)?!その原因は?

発芽玄米を作るために、長時間浸水させたままにすると、雑菌が繁殖しやすくなり、異臭の原因になります。夏場などは特に雑菌が増えやすく、においがきつくなりがちです。状況に応じて、こまめに水は取り替えるようにしましょう。

発芽玄米を長持ちさせるには?

発芽玄米を作るのはそれなりに時間がかかるもの。できれば、一度作ったら何回かに分けて食べたいですよね。美味しさを損なわず保存するコツはあるでしょうか? 

すぐに炊かない場合は、冷蔵庫で保存

出来上がった発芽玄米をそのまま常温で置いておくと、どんどん発芽が進んでしまいます。すぐに炊かない分は、水をよく切ってからタッパーなどに移し替えて冷蔵庫に入れれば、約1週間程度保存が可能です。
もう少し長く保存したい場合は、冷凍庫へ。その場合は、1回に使う分量ずつ小分けにして保存するようにしましょう。

【応用編】発芽玄米をもっと楽しもう!

せっかく時間をかけて、発芽玄米を手作りしたのなら、日々の食卓でも工夫して色んな味で楽しんでみたいですね。余裕がある方は、発芽玄米を進化させた、さらなる上級者のお料理にチャレンジしてみるもよし。発芽玄米への興味をもっと深めてみませんか?

炊飯器や土鍋で簡単!おいしく炊ける

未発芽の玄米を炊く場合は、圧力鍋を使ったり、玄米モードのついている炊飯器が必要だったりするけれど、発芽玄米の場合は、基本的に白米とほぼ同じ方法でおいしく炊くことができます。まず、発芽玄米を研がずに炊飯器や土鍋に入れ、白米を炊くときより、やや多めの水を入れて、30分ほど浸水させます。あとは普通の白米と同じ要領。炊く時間も蒸らす時間も特に変える必要はありません。ごく普通の炊飯器でも、とっても手軽に炊けるのがうれしいですね。

初心者におすすめ。発芽玄米と白米のブレンド炊き!

普段、白米に慣れている方は、初めは発芽玄米を少し食べ辛いと感じるかもしれません。そんな場合は、白米とブレンドして炊くのがおすすめ。黄金比率と呼ばれる配分は、白米2:発芽玄米1。発芽玄米は、普通の炊飯器で、白米と同じモードで、炊くことができるので、とても簡単にブレンドご飯を作ることができます。日によって、配分を変えるなど、変化をつければ、飽きずに美味しくいただけそうです。

栄養満点、お腹にやさしいお粥を作ろう

胃腸が疲れ気味の時は、発芽玄米をお粥仕立てでいただいてみましょう。じっくりコトコト弱火で柔らかく煮込めば、消化に良くて栄養豊富なお粥が完成します。生米から作るとどうしても時間がかかってしまうので、あまり時間がないときは、炊いた発芽玄米から作れば、とても簡単でおすすめ。何も入れなくても、玄米の芳醇な香りで美味しくいただけますが、好きな具材を入れて、組み合わせを楽しんでみてもいいですね。

美味しいうえに保存もしやすい、お餅を作ろう

もち米玄米を発芽させれば、発芽玄米餅だって作ることができます。普通の白餅よりも、香ばしく風味も豊かで、食べ応えがあるのが魅力。さらに栄養価も高く、保存がしやすいというのもうれしいですね。発芽させれば、普通の白いもち米と蒸し方も変わらないので、ブレンドしてお餅にするなど、お好みでアレンジもしやすいですよ。

玄米麹を作って料理に展開

一時、調味料代わりに塩麹を使った料理がブームになりましたよね。塩麹だけでなく、しょうゆ麹、甘酒、味噌などの発酵調味料に欠かせないのが米麹。よくあるのは、白米の米麹ですが、玄米麹もなかなか美味しくて、通の間では人気があるのだとか。特徴は、甘みはあるものの、普通の米麹よりもほのかに苦みがあり、香りや風味が豊かで、味に奥行きを感じられること。発芽玄米を使った米麹。発芽玄米を蒸して、種麹を付けて、発酵させて...手間暇はかかりますが、手作りすることだって、可能です。ぜひ色んなおかずに応用して、料理の腕もあげちゃいましょう。

まとめ

おいしくて、栄養豊富な発芽玄米。食感豊かで食べ応えもあるので、日々の食事に取り入れてみてはいかがでしょう? まだ発芽玄米を食べたことがない方は、まずは市販の発芽玄米を試して、その良さを実感してみてください。ご自身に合った形や味を覚えたら、それを目標に手作りしてみてくださいね。

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