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2019.05.13

玄米・発芽玄米・五穀米 栄養とカロリーを知って健康生活

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「体は食べ物で作られる」とは、よく聞く言葉。

普段何を食べているかによって、体型だけではなくパフォーマンスも変わります。

今回は、炭水化物の中でも、栄養価の高い玄米に焦点を当てて、その栄養や効能、おいしい食べ方までたっぷりご紹介します。

玄米をもっと知ろう!-栄養素、カロリー、その効能は?-

日本人の主食といえば、白米。日々、炊きたてのおいしいごはんを当たり前のようにいただけるなんて、幸せなことですよね。

しかし、はるか昔、農耕が始まった弥生時代から、長く日本人の主食を支えていたのは、白米ではなく玄米でした。江戸時代に入って、精米技術が進歩し人々は白米を食べるようになりましたが、農村にいた庶民が食べていたのは、玄米や雑穀米。この頃、江戸勤めの侍が、脚気(かっけ)になることが多かったのは、精白米が主食となり栄養バランスが崩れたためではないかとまで言われました。

農業や流通も発達し、食材の豊かな現代では、肉や脂も多く摂れるようになり、栄養不足とは一見無縁になったかのように思えますが、今度はバランスを欠いた食事によって引き起こされる生活習慣病などの問題が指摘されるようになりました。

近年再び、日本古来の玄米菜食を薦めるマクロビオティック(玄米、全粒粉を主食とした、食事法、思想、長寿法)の考え方が注目されているのは、玄米を中心とする伝統食が、いかにバランスが取れていて、健康維持のために理に適っているかということに、多くの人が気付きだしたからかもしれません。

では実際に、玄米はそれほど栄養学的に優れているののでしょうか? 他の穀物と比べて、栄養価や機能性にどんな特徴があるのか、確認してみましょう。

玄米、精白米、胚芽米、五穀米の...穀物の栄養を比較してみよう

参照:文部科学省 五訂増補日本食品標準成分表(本表)穀類

表を見てわかるとおり、白米、玄米、胚芽米、それぞれカロリーを見るとほとんど同じです。しかし、糖質の量は違います。

炭水化物の主成分は糖質であり、これが消化、分解されてブドウ糖となり人間の体の主なエネルギー源となるのでとても重要です。

しかし、体の必要量以上に糖質を摂ると、中性脂肪が増えてしまう問題も...。そこで注目したいのが、食物繊維です。一般的に食物繊維を多く含む穀物ほど糖質が低く、血糖値の上昇が緩やかになる傾向があります。

玄米や雑穀は食物繊維が豊富

昨今、日本人の食物繊維不足が問題視されていますが、その要因の一つとして、日本人が主食をあまり重視しなくなり、穀物由来の食物繊維の摂取量が大幅に減っていることが指摘されています。

また穀物由来のものから食物繊維を多くとると、糖尿病のリスクが低くなるという研究データもあり、今や食物繊維は量だけでなく、「何から摂るか」という点も重要になってきました。

玄米や、ひえ、あわ、きびなどの雑穀は、他の穀物と比べてみても食物繊維が多いのが特徴。さらに糖質や脂質、たんぱく質の代謝をサポートするビタミンB群や現代人に不足しがちな鉄やマグネシウムなどのミネラルも豊富です。

五穀米は、白米に豆や雑穀を混ぜたもの。白米にプラスして、栄養や食物繊維をプラスできます。元から白米に混ぜて売っているものや、白米を炊くときに、雑穀を足して炊くタイプのものもあります。

玄米や五穀米は噛み応えがあり、満腹感も得やすいというメリットもありますので、しっかり食べて健康的にダイエットするのに最適な食材といえそうです。

最近話題のガンマ・オリザノールや GABA

最近話題の玄米特有の栄養成分、ガンマ・オリザノール。
糠や胚芽に含まれる成分で、コレステロール低下作用や抗酸化作用、脳機能の改善作用などたくさんの効能が報告されています。さらに、注目すべきは、ガンマ・オリザノールには、甘いものや脂っこい食事を好まなくなる作用があるということ。このような食欲をそそるメニューは、食べだすとやめられなくなったりしますが、この時の欲求を抑えてくれるのだそう。つまり、肥満の大敵である過食を防ぐ可能性に期待が集まっているのです。

また、栄養補助食品やサプリメントでもよく目にする成分、GABAも多く含む玄米。この成分は、ストレス軽減作用やリラックス効果があること、そして高めの血圧を低下させる働きがあることが、報告されています。

健康志向の人々に支持が厚い玄米。
栄養価が高いだけでなく、まだまだ多くの可能性を秘めているかもしれません。

玄米をどう摂るか? 五分づき、七分づき、栄養は変わる?

栄養価の高い玄米。
健康に良いというイメージはあっても、白米の味に慣れている人にとって、最初は取っつきにくいかもしれません。そういう方は、玄米の栄養素を幾らか残した胚芽米や分づき米を選択しても良いでしょう。

分づき米とは、胚芽や糠部分を一部残して精米したもの。三分づき、五分づき、七分づき...など精米度合いを選ぶことができ、数字が高くなるほど白米に近くなります。つまり、七分づきくらいになると、見た目や食感はほとんど白米に変わらないので、食べやすくはなりますが、栄養価は低くなります。栄養価を重視するなら、胚芽の栄養はほぼそのままで糠部分も5割程度は残っている五分づきもおすすめです。

玄米はよく噛む習慣がないと、胃腸の弱い方は消化不良を起こす場合もあります。最初は七分づきから始めて、慣れてきたら五分づきに変えるなどして、徐々に完全玄米食に近づけていくのも良い手法です。

また、糠を取り除き、胚芽部分は完全に残した胚芽米もビタミンやミネラルが豊富です。糠がないので、白米と同じ炊き方ができるのも手軽で嬉しいですね。自分のライフスタイルに合わせて、やりやすい方法を選びましょう。

玄米フレーク、玄米茶、玄米味噌でも栄養は摂れるの?

玄米の栄養や効能が注目される中、他にも玄米と名がつく商品をいろいろと目にしますよね。それらは、玄米の香ばしさや風味など味の部分だけではなく、栄養面でも玄米の良さを受け継いでいるのでしょうか?

まず、手軽な朝食&おやつメニューにもなる玄米フレークなどシリアル系について。
これらはカロリーコントロールをしやすいので、ダイエット中によく使われる方も多いかと思います。穀物の種類によって、栄養価が変わりますので、自分に合ったものを上手く利用できるといいですね。
玄米フレークはビタミン、ミネラルが多めなのが特徴。牛乳をかけていただくことでカルシウムも効率的に摂ることができます。

パッケージにある栄養成分表を見て、自分に最適と思われるものを選ぶようにしましょう。

また、玄米茶や玄米味噌もGABAやガンマ・オリザノールなど、玄米の栄養素を含んでいる商品です。玄米そのものを食べるよりは栄養価は低いものの、味噌や茶葉特有の栄養素も一緒に摂れるので、上手に利用すればメリットを感じられそうです。

もち玄米、玄米餅、普通の玄米との違いとは?

玄米の硬い食感が苦手という人に最近人気なのが、もち玄米や玄米餅。これらがいわゆる普通の玄米と違うのは、私たちが普段食べているうるち米ではなく、もち米を使っているということ。

うるち米ともち米ではアミロースとアミロペクチンという2つのでんぷんの割合が異なるため、食感に大きく差が出ます。もち米は大部分がアミロペクチンで構成されていて、水分を含むことでもっちり粘りの強い食感になるのが特徴。つまり、もち玄米とは、玄米の栄養価と食べやすさ、両方を兼ね備えていると言えるのです。すでに餅として加工された玄米餅なら、焼いたり煮たり、調理方法も簡単なので、玄米初心者にもおすすめですよ。

炊き方で栄養の吸収が変わる!?

玄米の良い面ばかりをクローズアップしてきましたが、玄米には発芽毒と呼ばれる少しネガティブな成分も存在します。発芽毒とは、種に元々備わっている発芽抑制因子のことで、種を持つ植物すべてに備わっているものです。

植物ホルモンを無毒化するにはしっかり浸水させること。こうすることで、玄米は発芽モードになり、発芽毒が働かなくなります。また、旨味成分や栄養価が上がるという嬉しい影響も。そもそも浸水をしないで玄米を炊くと、食感が硬くておすすめできません。おいしく食べるためにも、浸水時間はたっぷり長めに取るように心掛けましょう。

レトルトや冷凍保存でも栄養価は変わらない?

毎日、玄米を炊くのは時間もかかるし、ちょっと面倒。
レトルトの玄米ご飯は、玄米の栄養素をしっかり含んでいるので、忙しくて体力が落ちがちなときこそ、利用価値が高そうです。

一度にたくさん玄米を炊きたいという場合は、翌日以降の分は冷凍保存すると良いでしょう。ただし、解凍のときは電子レンジではなく、蒸し器で温める方がベター。電子レンジだと風味が落ちてしまうだけでなく、酵素が壊れやすくなりますので気を付けて下さいね。

近頃話題の新型栄養失調とは?

さて、最近、「新型栄養失調」という問題が話題になっているのを皆さんはご存知でしょうか。モノに溢れた飽食の時代に、栄養失調とはちょっとショッキングな話ですよね。

カロリーは十分足りているのに、過度なダイエット、こだわりが行き過ぎた食生活などで、栄養のバランスが偏ってしまっている現代人が少なくないとのこと。

玄米食は、白米に比べ、栄養も豊富で、腹持ちもよく良く噛むことで、ダイエットに向いているとお伝えしましたが、玄米ばかりを食べて、満足していては、健康的な食生活とは言えません。

新型栄養失調にならないためにも、色んな種類の食材を食べることが大切です。たんぱく質、脂質、糖質に加えて、ビタミン、ミネラル、食物繊維、6つの栄養素をバランスよく摂るように心がけましょう。

玄米におすすめのおかずとは?

主菜、副菜、主食のバランスが取れていて、私たちに馴染み深い料理といえば、やはり和食です。さらに主食を玄米に変えるだけで、栄養価が上がるので、より健康的な食事内容になります。

玄米は噛む毎に味わいが深まりますので、あまり濃い味のおかずではなく、シンプルな味付けで、大豆製品の味噌汁、主菜と、野菜を使った副菜が揃えば、バランスもよい食事になります。

でも、いつも同じでは、飽きてしまう。そんな方に、ちょっと変わった玄米レシピをご紹介します。

玄米をおいしく、バランスよく食べたい方へ...おすすめ玄米レシピ

やっぱり食事は楽しまないと!玄米をおいしく楽しく、そして栄養バランスよく食べられる、おすすめのレシピをご紹介します。

玄米だけでは不足するたんぱく質を補って 玄米ガパオライス

香辛料やニンニクの香りが食欲を刺激する玄米ガパオライス。豆腐の良質なたんぱく質も摂れる上に、ピーマン、パプリカ、玉ねぎなどの野菜も入っていてビタミンもたっぷり。カラフルで目にも楽しい一皿です。
作り方や分量などくわしくはこちら

腸内フローラも整えつつ、1膳でバランスよく ねばねば玄米ごはん

納豆や長芋のとろみと玄米の絶妙な食感が魅力的な丼もの。納豆菌のプロバイオティクス、食物繊維のプレバイオティクス、双方からのアプローチで腸内環境を整えます。乾物など、常備しやすい食材を使っているのもうれしいですね。
作り方や分量などくわしくはこちら

食物繊維不足を解消!小松菜とごぼうの玄米まぜご飯

玄米とごぼう、食物繊維が豊富な食材を使ったまぜご飯。1食に5.1gもの食物繊維を含んでいるうえに、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維どちらもバランスよく摂ることができます。よく噛んで食べることで、胃腸の活動も活発化し、栄養の消化・吸収もアップしますよ。
作り方や分量などくわしくはこちら

まとめ

玄米は、ただ、体のエネルギー源となる炭水化物というだけでなく、ビタミンB群、ミネラル、食物繊維を豊富に含み、栄養の代謝・吸収も良くしてくれるとても機能的な食材。調理の仕方や他の食材との合わせ方次第で、楽しみ方も広がります。日々3度の食事のうち、1食に玄米を取り入れてみる。まずはそんな気楽な気持ちで玄米生活を始めてみませんか。

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