健康
作成日2026.10.28
更新日2026.11.04

ブロッコリーを、もっと好きになる。~「日本一バズる農家」の挑戦~

冬の日本海側で育つブロッコリーの魅力と、SNSでの広報活動を通じて食卓を豊かにしようとする安井ファーム・土田さんのストーリー。

石川県白山市の安井ファームは、米やキャベツ、ネギなど多彩な作物を手がける農場です。 主力のブロッコリーは約90ヘクタールで栽培し、年間約200万株を出荷する県内最大級の生産量を誇ります。その一方で、SNSを活用した広報活動にも注力。発信するレシピが話題を呼び、「日本一バズる農家」として注目を集めています。 今回は収穫期の1 2月に現地を訪れ、広報を担う土田龍之介さんの案内で畑を見学。 レシピ実演を交えながら、ブロッコリーの魅力と挑戦の歩みを伺いました。 

有限会社安井ファーム 選果営業部 広報課責任者 土田 龍之介さん

安井ファーム 土田 龍之介さんTsuchiya Atsushi

有限会社安井ファーム 選果営業部 広報課責任者

●プロフィール/安井ファームの公式SNSを運用。通称「ブロッコリーの人」。斬新なレシピ発信が話題を呼び、著書『日本一バズる農家の健康ブロッ コリーレシピ』ほか、レシピ本を刊行。

    この記事のポイント

    • 石川県の安井ファームでは、年間約200万株のブロッコリーを出荷する県内最大級の生産量
    • SNSでの情報発信を通じて、ブロッコリーの魅力とレシピを広める活動に取り組んでいる
    • ブロッコリーはビタミンC、たんぱく質、葉酸を豊富に含む栄養価の高い野菜
    • 茎や葉まで余さず楽しめるのが魅力

鉛色の空の下で育つ、力強さ

冬の日本海側らしい鉛色の空の下、安井ファームに到着すると、土田さんが笑顔で迎えてくれました。「雨が降っていないなら晴れですよ」――朗らかな言葉に、この地域ならではの感覚と土田さんの前向きな人柄がにじみます。

向かったのは、ほど近い場所に広がるブロッコリー畑。冷たい空気の中で、緑の葉をしっかりとまとい、凛とした姿で収穫のときを待っていました。安井ファームでは、種まきの時期や品種を工夫しながら、春・秋・冬の3シーズンで収穫できる体制を整えています。年間9カ月にわたり約200万株を出荷。県内屈指の生産量を誇ります。目の前に広がる畑には、安定供給を支える工夫の積み重ねが表れていました。

広大な畑に目を奪われていると、「せっかくなので収穫作業を体験してみませんか」と土田さんが声をかけてくれました。手順を教わりながら、包丁を入れて太い茎を切り取ると、ずっしりとした重みが手に伝わります。その重みには、寒さに耐えて育ったブロッコリーの力強さが宿っていました。

収穫体験中の様子

斬新でお手軽、試したくなるレシピ

収穫体験を終え、社屋の食堂へ。土田さん考案のブロッコリーレシピを、調理しながら振る舞っていただきました。

まずは4種類のディップソース。ブロッコリーは食べやすい大きさに切って洗い、電子レンジで加熱したものを用意。温かいうちにソースをつけて味わいます。「焼肉のたれマヨ」は、にんにくの効いた甘辛さにわさびが重なり、パンチのある味わい。「ヨーグルトマヨ」は酸味が甘みを引き立てます。「オリーブオイル醤油」は、まろやかさと香ばしさが調和する一品。「海苔の佃煮オリーブオイル」はコク深く、パスタやパンにも合いそうです。

続く「オリーブオイル白だし蒸し」は、ふわりと広がる香りとやさしい旨みが印象的。シンプルながら主役になれる一皿です。

最後の「めんつゆ漬け揚げ」は、カリッとした衣とホクホクの食感、じゅわっと広がる旨みが魅力。思わずもう一口と手が伸びる美味しさでした。

どれも手軽につくれて、驚きのあるレシピばかり。家庭でもすぐに試したくなります。

Recipe 01 ブロッコリーがもっと美味しくなる<4種のディップソース>

オリーブオイル醤油、焼き肉のたれマヨ、ヨーグルトマヨ、海苔の佃煮オリーブオイルのレシピはこちら。

A:オリーブオイル醤油 [ オリーブオイル1:醤油1 ]

B:焼き肉のたれマヨ [ 焼肉のたれ1:マヨネーズ1 + わさび]

C:ヨーグルトマヨ [ プレーンヨーグルト1:マヨネーズ1 + 塩コショウ]

D:海苔の佃煮オリーブオイル [ 海苔の佃煮1:オリーブオイル1 ]

Recipe 02 < ブロッコリーのオリーブオイル白だし蒸し>

ふわりと広がる香りとやさしい旨みが印象的なレシピです。

材料(2人分)

・ブロッコリーの小房:1株(200g)
A
┏・水:50ml
┃・白だし、オリーブオイル:各大さじ2
┗・おろしにんにく(チューブ):1cm

つくり方

フライパンにブロッコリーとAを入れ、中火にかける。 ふつふつとしてきたらふたをし、3~4分蒸す。

Recipe 03 <ブロッコリーのめんつゆ漬け揚げ>

カリッとした衣とホクホクの食感、じゅわっと旨みが広がります。

材料(2人分)

・ブロッコリーの小房:1/2株(100g)
・めんつゆ(ストレート):100ml
・片栗粉:1/2カップ
・揚げ油:適量

つくり方

❶ブロッコリーを加熱する(600Wで1分10秒ほど)。
❷バットや容器に❶を入れてめんつゆを加え、冷蔵室で1時間~ひと晩漬ける。
❸❷の汁気をよくきってポリ袋に入れ、片栗粉を加えて振り、全体にまぶす。
❹揚げ油を中温に熱し、❸を2分~2分30秒揚げ、油をきる。

※レシピ出典:『いつものごはんが10倍おいしい! バズ農家が教えるお野菜ときめきトリセツ』

病をきっかけに始まった挑戦

これらのレシピは、土田さんが広報活動の一環として考案し、SNSで発信してきたものです。その取り組みは、ゼロからの挑戦でした。

転機となったのは、2015年ごろにがんを患ったこと。当時は体を使う農作業を担っていましたが、治療の影響で続けることが難しくなり、「自分なりの農業との関わり方を探さなければ」と考えます。そこで目を向けたのが、SNSによる広報活動でした。

安井ファームのブロッコリーはスーパーに並びますが、農場名が表示されないこともあり、認知度は決して高くありません。生産量の増加に伴い、消費拡大も課題となっていました。農場とブロッコリーの魅力を広めようと、社長に広報課の立ち上げを提案します。

「それまで安井ファームに広報という概念はほとんどありませんでした。でも、社長は私の思いを受け止め、静かに背中を押してくれた。その気持ちに応えるためにも、必ず成功させようと決めました」と土田さん。

Facebookでの収穫報告から始まり、2019年にはX(旧Twitter)も開始。「美味しい食べ方を教えてほしい」という声に応え、レシピの発信を始めました。もともと料理経験はほとんどなかったそうですが、冷蔵庫にある食材で試作を重ね、年間約150株分のブロッコリーを使って実験を続けたといいます。

料理初心者だからこそ生まれた斬新なレシピは大きな反響を呼びました。やがて出版社の目に留まり、2022年にレシピ本を出版。増刷を重ね、2026年1月には第2弾も刊行されています。



ブロッコリーで食卓に笑顔を

広報活動は、土田さんにとって農業と新たに向き合う道となり、安井ファームの認知拡大とブロッコリーの魅力発信に貢献してきました。今後について尋ねると、「病気になったとき、治ったら世の中のためになることをしたいと強く思いました。完治後もその思いを胸に活動を続けています。これからもレシピ開発や情報発信を通じて、食卓に美味しさと楽しさを届けたい」と語ります。

ブロッコリーはビタミンCやたんぱく質、葉酸などを豊富に含む栄養価の高い野菜。和洋中を問わず使いやすく、茎や葉まで余さず楽しめるのも魅力です。茎は皮を厚めにむいてきんぴらに、葉はさっと湯通しして酢醤油で。選ぶ際は蕾が密集し、緑色のものを。冬に紫がかるものは寒さに耐えた証で、甘みが増す傾向があります。保存はポリ袋に入れ、冷蔵庫のチルドルームで約2週間可能です。

冬空の下で力強く育つブロッコリーと、その魅力を届けようとする人の情熱。背景を知ると、スーパーで手に取る一株も、少し違って見えてきます。土田さんのレシピや選び方を通して、いつものブロッコリーが、ほんの少し特別な存在になるかもしれません。

まとめ

出典:GREEN SALANA vol.11(2026年夏号)


p.02-03「ブロッコリーを、もっと好きになる。「日本一バズる農家」の挑戦。発行:サンスター株式会社

「GREEN SALANA」 は、「緑でサラナ」をご愛飲いただいている皆さまへ、季節ごとにお届けする情報誌です。健康や食、旅、暮らしなど、毎日をより豊かに楽しむための情報を、全国各地の取材や多彩な企画を通してお届けしています。

編集者 サンスター株式会社編集部
公式ホームページ https://jp.sunstar.com/
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