HEALTH
2023.02.22

健康診断で気になるコレステロール!「食事」と「運動」で両立折り合いをつける

健康診断で何かと気になる高めのコレステロール。
国民健康・栄養調査(令和元年)によると、50代の16.8%が脂質異常症の疑いがあるという数値結果が。割合で言うと、40代の数字から10%も増加していて、男性に至っては50代の男性のうち4人にひとりがコレステロールの問題を抱えていることがわかります。

高めのコレステロール対策には、「食事」と「運動」の両面からのアプローチが大切だと言われていますが、どのようなことに留意し、何から始めればよいのかについて考えてみましょう。

コレステロールの基準とは?

コレステロール値の異常は、医学的には「脂質異常症(ししついじょうしょう)」と呼ばれます。以前は「高脂血症」などと呼ばれていました。そして一口にコレステロールと言っても、診断基準となる項目は下記のように細かく分かれています。

■LDLコレステロール
140mg/dL・・・高LDLコレステロール血症
120~139mg/dL・・・境界域高コレステロール血症

■HDLコレステロール
40mg/dL未満・・・低HDLコレステロール血症

■トリグリセライド
150mg/dL以上・・・高トリグリセライド血症

■Non-HDLコレステロール
170mg/dL以上・・・高non-HDLコレステロール血症
150-169mg/dL・・・境界域non-HDLコレステロール血症

出典:厚生労働省e-ヘルスネット「脂質異常症」より

LDLやHDL、中性脂肪…。検査項目ごとの意味や違いとは?

コレステロールは細胞膜や、性ホルモン・副腎皮質ホルモンの他、胆汁酸を作る材料であり、人間の身体にとって欠かすことのできない物質です。

生命の維持に大切な栄養を身体の隅々まで運ぶため、コレステロールはリポ蛋白という粒子に組み込まれて血液内に流れます。LDLとHDLは、この血中のリポ蛋白の「比重」の違いを指します。そして比重の違いによって働きも異なります。

・LDLコレステロールとHDLコレステロールの働きとLH比

LDLコレステロールは、最も多い低比重リポ蛋白に含まれるコレステロールで、肝臓から出て血液を通じ、全身の細胞にくまなく行き渡ります。血中のLDLコレステロールが多すぎると、血管壁に溜まり動脈硬化の原因になることがあるので、適正な値を維持することが大切です。
また、血中のLDLコレステロール値と、HDLコレステロール値の比率も大事なポイントだということも、覚えておきましょう。
HDLコレステロールは体の細胞から使われなくなったコレステロールを肝臓に運ぶ役割をしており、血管に蓄積したLDLコレステロールを回収する働きがあります。
健康診断でも、現在ではLDLとHDL両方のコレステロール値を測定することが一般的で、LH比が健康診断書に明記されている場合も多くなりました。もし明記されていなくても、「LDL ÷ HDL」の計算式で簡単に算出できるので、まずはご自身のLH比を確認することから始めましょう。
健康な成人であれば、LH比2.0以下、高血圧や糖尿病、心筋梗塞などの疾患歴がある人は1.5以下に維持することが推奨されています。コレステロールが高めと診断されたら、LDLコレステロールの総量だけでなく、LH比にも注目してみましょう。

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・中性脂肪(トリグリセライド)の働き
中性脂肪(トリグリセライド)は、人間が活動するための主なエネルギー源です。余剰分は内臓脂肪や皮下脂肪として蓄えられ、メタボリックシンドロームの診断基準にも盛りこまれています。

中性脂肪増加の原因は、食べすぎ、飲みすぎ、運動不足と言われています。日常の活動量以上に食事からエネルギーを摂取すると、摂取と代謝がアンバランスになり、血中の中性脂肪の値も上昇。中性脂肪が高いと指摘されたら、年齢や性別、活動量に応じて、食事の量や内容を見直す必要があります。

高めのコレステロール、対策は運動?それとも食事?

コレステロール対策を考える時、何から始めたらいいのか迷う方も多いかと思います。
食習慣や運動習慣を変えた時、継続し習慣化していくことが最も大切です。
小さなことから少しずつ改善し習慣化するためには、上述に挙げたコレステロールの値から、TODOの優先順位付けするというのも有効な方法です。

例えば、LDLコレステロール値の改善が優先事項である場合、食事改善を優先するほうが効果的である可能性が高いと言われています。

1)摂取するエネルギー量を適正に

食事から摂取するエネルギーを適正にして、脂肪の摂取量を制限することで、LDLコレステロールの低下が期待できます。年齢・性別・活動量ごとに適正カロリーは異なりますが、厚生労働省が公開している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の推定エネルギー必要量がひとつの目安にすると良いでしょう。

2)食事の質を見直す

・飽和脂肪酸を含む食品を控える
飽和脂肪酸はコレステロールを生成するための材料になります。そのため、コレステロール値が高い人は飽和脂肪酸を含む食品を控えるようにしましょう。例えば、脂の多い肉類やラ-ド、バタ-・生クリームなどの乳製品やこれらを使ったお菓子を控えましょう。肉の加工品は、脂の少ない肉を使って手作りするよう心掛け、アイスクリームや洋菓子、スナック菓子などは極力控えるといいでしょう。そして、魚やオリーブオイルなど、不飽和脂肪酸と呼ばれる油を選択するよう意識しましょう。

・コレステロールを多く含む食品を控えめにする

コレステロール値が高めの人は、食事に含まれるコレステロールも意識しましょう。例えば、卵、たらこなどの魚卵類、レバーなどコレステロ-ルを多く含む食品の摂取を控えめに。また、LDLコレステロールの酸化予防にビタミンCやビタミンE、β-カロテン、ポリフェノールなどの抗酸化作用の強い栄養素を含む食品を積極的に摂取するなどの工夫が必要です。

・食物繊維を豊富に含む食品を積極的に摂取する

適正カロリー内に収めつつ、必要な栄養素をバランス良く摂取することと、食べごたえも両立するためには、野菜や海藻類・豆類などの食物繊維を豊富に含む食材を利用しましょう。食物繊維は腸内環境の改善や便通改善だけでなく、コレステロールの吸収を抑える働きもあります。

・コレステロールを下げる食品を意識する

食材に含まれる栄養素の中には、食物繊維同様コレステロールの吸収を抑えたり、余分なコレステロールの排出を助ける働きをもつ成分があります。例えばブロッコリーやキャベツに含まれる、SMCS(天然アミノ酸)には、胆汁酸の生合成を助け、コレステロールの排出を助ける効果が確認されています。

コレステロールは野菜の力で下げられる!

特定保健用食品 緑でサラナ 緑でサラナには、ブロッコリー・キャベツ由来のSMCS(天然アミノ酸)が含まれています。

3)運動不足やストレス・睡眠不足を改善する

血清脂質の改善には、運動も有効です。

・運動

HDLコレステロール値、中性脂肪値を改善するためには、特に代謝をアップさせる運動がよいと言われています。また、LDLコレステロール値の改善にも有効です。
動脈硬化性疾患予防ガイドライン(2022年版)では、成人は 1 日合計30分以上を週 3 回以上(可能であれば毎日)、または週に150分以上中強度以上の有酸素運動を行うことが推奨されています。
デスクワークなどで活動量が少なめの方や、運動不足を感じている場合は、1日に30分程度のウォーキングなど有酸素運動を3ヶ月程度続けてみて、数値の改善や体重減少など効果があるかどうかをチェックしてみましょう。

・ストレスや睡眠不足

食事や運動以外にも、睡眠不足にもストレスにも注意を払ってみましょう。睡眠不足やストレスが、脂質の代謝にも悪影響を及ぼすことが報告されているので、個々の事情にあった対策を講じることが大切です。

コレステロール改善、まずは1ヶ月間続けよう

では、対策を始めてから、どれくらいで変化が出始めるのか?と気になる方も多いことでしょう。
これはその方が置かれている状況によっても違いがありますが、まずは1ヶ月あるいは4週間程度継続してみることが大切です。

健康維持のためには、適正な数値を維持することが大切です。10年先の健康のために、小さな変化を継続することから始めましょう!