しっかりはみがきしているのに、口臭が気になる…。緊張する場面で口がカラカラになってしまう…。こんな経験ありませんか?もしかすると、その原因には「ストレス」が隠れているかもしれません。
「ストレス」と「口臭」は一見無関係のように思えますが、実は口臭の要因として見逃せないもの。そう聞くと、驚く方も多いのではないでしょうか。
ストレスが口臭を引き起こすメカニズムや、その予防・対策方法について確認してみましょう。
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日本人のお口のお悩み、トップは「口臭」
サンスターグループ(以下サンスター)が2021年に発表した、世界最大規模の歯科治療を含む口腔衛生に関する意識調査によると、日本人のお口のお悩みTOP3は、1位 口臭、2位 歯周病、3位むし歯でした。
また、不名誉なことではありますが、実際、「日本人の口臭」は悪評が高いのも事実。日本人特有の口臭原因として、ストレスや食生活、口腔ケアの意識格差などが指摘されています。グローバル社会において、口臭対策はエチケットの一環として認識されつつある中、適切なケアを心がけることが、今後ますます大事になるでしょう。
ストレスを感じると、口臭が強くなるのは何故?
私たちの身体には自律神経という制御システムがあり、自律神経は交感神経と副交感神経で構成されています。交感神経は、体の機能を活発化させる働きを司っていて、ストレスを感じたり、緊張状態が続いたりすると、交感神経が優位になります。
一方、副交感神経は体を休めるときに働く神経です。唾液の分泌は副交感神経が働いている時、つまりリラックスしているときに活発になるのです。
ストレスや緊張の影響で交感神経が優位な状態が長時間続くと、副交感神経の働きが抑制され、結果として唾液の分泌量が減少します。さらに、交感神経が優位な状態で分泌される唾液「粘液性唾液(ねんえきせいだえき)」は、アミラーゼなどのタンパク質を多く含んで粘り気があります。
副交感神経が優位なときに分泌される唾液は「漿液性唾液(しょうえきせいだえき)」といい、口腔内を潤し清潔に保つ役割があります。このサラサラな唾液の分泌量が減ると、口臭の原因となる細菌が増殖しやすくなってしまう。
これが、ストレスによって口臭が発生しやすくなるしくみです。
また、ストレスは腸内環境を悪化させ、口臭に影響を与えるとも言われています。
腸内環境が悪化して発生した腸内のガスが、口臭や体臭の原因となる場合があると言われています。最近お腹の調子が悪いな….と感じている方は、合わせて原因を探ってみるとよいかもしれません。
ストレス口臭を予防するためには?
ストレスは誰しも多かれ少なかれ感じるもので、またすべてのストレスが悪いものとも限りません。ストレスとうまくつきあうコツは、まず「自分のストレスに気づく」ことかもしれません。
どんな事柄にストレスを感じるかは、個々の性格や体調によっても変化します。
自分が何にストレスを感じやすいかが分かっていれば、ストレスの原因(ストレッサー)を回避し、許容範囲に留めるよう、自身の行動を変えることも可能なはずです。
また、自分なりのストレス解消法を知っておくことも大事です。
例えば、ストレス口臭に関して言えば、「ガムを噛むこと」は簡単にできる対策のひとつ。これは咀嚼によってセロトニンの分泌を促進し、ストレス軽減や気分改善に繋がることに加え、唾液分泌を促進するためと言われています。
まずは過度なストレス環境に長期間身を置かないこと、またご自身のストレスを解消する方法を見つけることを心がけましょう。一見、無関係なように思えるかもしれませんが、口臭対策としても効果が見込めるものです。
実はすごい唾液のチカラ。でも加齢で分泌が減ることがある
口の中で常に分泌されている唾液は、健康を守る上でも大きな役割を果たしています。
例えば、口腔内を清潔に保つ自浄作用や、食べ物を飲み込みやすくする潤滑作用、さらには味覚を感じやすくする働きなども唾液の作用です。
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また唾液の分泌が減る原因には、加齢、全身の水分量の減少、ホルモンバランスの変化(特に女性)、また手術や疾患の影響などで起こることがあります。口腔内の不快感を感じたら、舌の状態を目視で確認してみてください。不快な状態が長く続くようであれば、歯科医院で適切な処置や指導を受けましょう。
今すぐ実践できる、口臭予防のヒント
今、しっかりとはみがきをしているにもかかわらず、口臭が気になる場合は、使っているアイテムを見直してみるのもよいかもしれません。口腔保湿ケアにフォーカスしたデンタルリンスや口腔ジェルなどを加えるのもアイデアの一つです。

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はみがき時に舌のケアをプラスするのも、口臭予防に効果があります。 舌の表面には「舌苔(ぜったい)」と呼ばれる細菌や食べカスなどが付着しやすく、口臭の原因となることがあります。歯ブラシや舌ブラシを使って、優しく舌の奥から手前に向かって汚れを取り除くようにしましょう。

外出中ならマウススプレーやガムを携帯するのも良いでしょう。
外出中に「もしかしてお口が臭うかも…」と気にしてしまうと、そのこと自体がストレスとなり、口臭に悪影響を及ぼす可能性もあります。自身のメンタルを穏やかな状態でキープするためにも携帯していると安心です。
唾液分泌の促進や口臭予防のための生活習慣として、下記のような事が考えられます。もし現在の生活習慣の中で改善可能な点があれば、意識してみましょう。
口臭対策には
- 噛み応えのある食べ物を食べる
- 水分補給をこまめに行う
- 喫煙や飲酒など口臭の原因になるものを一旦おやすみする
- 暴飲暴食をやめる(胃腸由来の口臭を予防)
また、唾液腺マッサージや口腔体操なども唾液分泌を促し、ストレス口臭の予防に役立ちます。
ストレス口臭対策で、人間関係も潤滑に
口臭への配慮は自身の問題だけでなく、相手を思いやる心の表れでもあります。
爽やかな息は、あなたの魅力をさらに引き立て、人間関係をより豊かなものにしてくれるはず。 ストレス口臭対策で、人とのコミュニケーションをより一層楽しみましょう!