HEALTH
2023.08.09

よい睡眠で心身健やかに!睡眠の質を下げるNG習慣と改善策

最近では、メディアでも睡眠不足や睡眠負債が健康リスクとして取り上げられることが増え、多くの人々が睡眠の重要性について認識するようになりました。
睡眠時間を十分に確保しているにもかかわらず疲労感が残るという声も多く聞かれます。質の高い睡眠を確保するためには、どのようなことに気をつけるべきなのでしょうか。

平均睡眠時間ってどれくらい?

厚生労働省の発表資料によれば、日本人の睡眠時間は諸外国と比較して非常に短く、平均7時間42分。なんと、過去20年間減少し続けているそうです。
では、睡眠不足になると、心や体にどんな影響があるのでしょうか。一緒に確認してみましょう。

睡眠不足になるとどうなるの?

睡眠不足による主な健康リスク

慢性的な睡眠不足は以下のような問題を引き起こす可能性があります。

認知機能の低下 注意力、判断力、記憶力などの認知機能の低下につながる可能性があります
免疫機能の低下 免疫機能が低下し抵抗力が弱まる可能性があります
メンタルへの影響 うつ病、不安、ストレス、情緒不安定などの精神的健康の問題を引き起こす可能性があります
心血管疾患のリスク増加 高血圧を引き起こすリスクがあります。また、心筋梗塞など心血管疾患のリスクも増加させる可能性があります
代謝異常 インスリン抵抗性を増加させること、糖尿病のリスクの上昇との関連性が認められています
食欲の増大 食欲と食事制御を調節するホルモンであるレプチンとグレリンのバランスが崩れ、体重管理が難しくなりやすいことがわかっています

こうして列挙すると、睡眠は、私たちの健康と安全な日常生活を支えるものだということがわかりますね。多忙な日常の中、睡眠時間をしっかりと確保することは中々難しいことではありますが、ご自身の健康のために、今一度睡眠時間を見直してみてくださいね。

※1 出典:総務省統計局「令和3年社会生活基本調査結果」

睡眠の質も大事!自分の睡眠の良し悪しを知ることから

しっかり眠っているつもりでも、もしも「日中に眠気がある」「疲労感が残っている」などの自覚症状があれば、「睡眠の質」を見直してみましょう。まずは「アテネ不眠尺度」を用いて、ご自身の睡眠を評価してみましょう。

「アテネ不眠尺度」でご自身の睡眠の質を確認
「アテネ不眠尺度」は世界保健機関(WHO)による「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」が作成した世界共通の不眠症判定法です。
以下の8項目で、過去1カ月間に、少なくとも週3回以上経験したものを選んでください。

問1.寝床についてから実際に眠るまで、どのくらいの時間がかかりましたか?
いつも寝つきはよい……0
いつもより少し時間がかかった……1
いつもよりかなり時間がかかった……2
いつもより非常に時間がかかった、あるいは全く眠れなかった……3

問2.夜間、睡眠の途中で目が覚めましたか?
問題になるほどのことはなかった……0
少し困ることがある……1
かなり困っている……2
深刻な状態、あるいは全く眠れなかった……3

問3.希望する起床時刻より早く目覚めて、それ以降、眠れないことはありましたか?
そのようなことはなかった……0
少し早かった……1
かなり早かった……2
非常に早かった、あるいは全く眠れなかった……3

問4.夜の眠りや昼寝も合わせて、睡眠時間は足りていましたか?
十分である……0
少し足りない……1
かなり足りない……2
全く足りない、あるいは全く眠れなかった……3

問5.全体的な睡眠の質について、どう感じていますか?
満足している……0
少し不満である……1
かなり不満である……2
非常に不満である、あるいは全く眠れなかった……3

問6.日中の気分は、いかがでしたか?
いつもどおり……0
少し落ち込んだ……1
かなり落ち込んだ……2
非常に落ち込んだ……3

問7.日中の身体的および精神的な活動の状態は、いかがでしたか?
いつもどおり……0
少し低下した……1
かなり低下した……2
非常に低下した……3

問8.日中の眠気はありましたか?
全くなかった……0
少しあった……1
かなりあった……2
激しかった……3

最後に、各選択肢についている点数を合計します。 アテネ不眠尺度では、合計点数が高いほど不眠が強く、逆に得点が低いほど睡眠の質が良い、と判定します。
合計点数で、あなたの睡眠の質を確認してみましょう。

【合計点数が6点以上の場合】
睡眠の質に問題があり、不眠症の可能性が高い状態です。不快な状態が長く続くようであれば、早めに睡眠障害の専門医を受診することをおすすめします。

【合計点数が4~5点の場合】
睡眠に問題を抱えている、または不眠症の疑いがある状態です。状況を改善するべく生活習慣を見直し、日々のストレスを緩和するよう努めましょう。不安があれば、睡眠障害の専門医の受診も考えてみてくださいね。

【合計点数が4点未満の場合】
まずまずの質の良い睡眠が取れています。さらに睡眠の質を良くしたいときには、運動や食事などの生活習慣を見直したり、寝具や寝室の照明など睡眠の環境を整えてみたりしましょう。

案外見逃しがち?睡眠の質を下げる日中のNG行動

うまく眠りにつけない時や、深夜に目を覚ましてしまう時、実は日中の行動に原因があることも。睡眠の質を低下させる日中のNG行動の代表的なものをチェックしてみましょう。

◎実は運動不足
日中、デジタルデバイスを多用する現代人は、肉体的疲労よりも脳疲労が先に起こります。
日中にウォーキングなどの運動をすると、短時間ですが安定した深い睡眠が得られると言われています。深い眠りは脳疲労を回復させます。ただし、眠りに就く前の激しい運動はNG。心地よいと感じられる程度のストレッチにするか、眠る2~3時間前までを目安に。

◎朝、カーテンを開けない
朝、太陽光(あるいはそれに類似した光源)を浴びることは、不眠症の治療にも用いられるメソッドです。起きてすぐに太陽の光を浴びると体内時計のリズムがリセットされ、その15~16時間後に眠気が起こると言われています。朝日は最高の目覚まし時計だと心得て、お陽さまに挨拶する習慣をつけましょう。 雨の日は晴れの日に比べて太陽光の量が1/100ほどだと言われています。しかし雨の日であっても光は届いているので、朝起きて屋外に出てすごすと、セロトニン分泌に有効に働く場合があります。また、雨天続きで太陽の光を十分に浴びられないようなときは、日中しっかりと運動することで、セロトニン分泌が高まり睡眠リズムの調整に役立つでしょう。

◎朝食を食べない
忙しくて朝食が取れない人は、体内時計の調節がうまくできない可能性も? 朝食を摂ることには、体内時計を整わせる効果があり、睡眠と目覚めのメリハリが生まれます。

◎寝床でのゲームやスマホはNG
布団やベッドに入ってからスマホでゲームやメールなどをすると、画面から出る光の刺激で目が覚めてしまうので、避けたほうが良いでしょう。 目の網膜には内因性光感受性神経節細胞と呼ばれる細胞があり、ブルーライトで刺激されると、体内時計の調整に関連する視交叉上核に作用します。眠る直前にブルーライトを浴びると、体内時計が覚醒の方向に調整されるため、寝つきを悪くする要因になりかねません。

◎就寝前の飲酒や喫煙、カフェイン摂取
睡眠の質の低下を招く要因として、寝る前の飲酒や喫煙が該当するのは意外に思われる方もいらっしゃるかもしれません。 アルコールは一時的に寝つきを良くしますが、途中で目が覚める、眠りが浅くなるなど、熟睡感が得にくくなります。タバコのニコチンには覚醒作用があり、これも眠りを浅くしてしまう要因です。カフェインも覚醒作用があるため、コーヒーや緑茶・紅茶など、カフェインを多く含む飲み物は、眠りにつく3~4時間前までにしましょう。

ラクトフェリンが睡眠改善に効果的!より積極的な睡眠ケアに

生活習慣病予防について長年研究するサンスターは、その研究の中でラクトフェリンという成分が睡眠改善に役立つことを発見しました。
大豆由来膜で多層コーティングしたラクトフェリン含有食品を4週間続けて摂ってもらったところ(ラクトフェリン含有量270mg/日)、睡眠の質が有意に改善しました。特に、心身のストレスや睡眠障害度が高めの40歳代においては、睡眠の質だけでなく、休日明けの疲労感も有意に改善したそうです。

研究結果の詳細はこちら
サンスター、ラクトフェリン摂取での睡眠の質改善効果を学会発表
心身ストレスに悩む会社員の休日明けの労働生産性が改善

睡眠時間×睡眠の質で充分な休養を

健やかな睡眠があってはじめて、十分な休養をとることができます。
まずは、ご自身の睡眠時間と睡眠の質の状態を把握し、運動や食事など、睡眠の質の向上に効果的な生活習慣を目指しましょう。